相手を思うコト、労わるコト、愛でるコト・・・




これからも変わらず、ひたすら愛しぬいていく覚悟・・・




すべてに固執しすぎて、間には微妙な隔たりが生まれていたのに。




私の知らない所で、着実に新たなるモノが忍び寄っていたというのに。




それにも気づけないほど、目の前の貴方に夢中で縋りついていて。




何も見えなくなるほど、鈍感力だけが冴えていた…――








「・・・蘭・・・」


「…ん?」


頬を掠めるくすぐったい感触と清涼な声で、ぼやけた視界が開けていく。



寝ぼけ眼の状態で、フッと一笑しているスーツ姿の拓海を捉えた。




「そろそろ帰ろうか?」


「え…、今って…?」


ベッドの淵に腰を下ろして見下げる姿に、誰もが見惚れそう…。



「19時すぎたトコ」


「うそっ――!」


心地良さでぼんやりしていた頭は、途端にバチッと覚醒させられる。