ホワイトムスクの香りに縋りつくように、拓海のスーツを掴んで泣き叫んで。



ずっと、ずっと、待ち望んだ場所に戻れたからか、急速に身体の力が抜けていく。




私の生きる道はやはり、拓海の傍でなければダメだと示すようで。




もう独りで生きるコトなど、あり得ないと告げているようだね…――







「・・・ん?」


「あ、気づいた?」


泣きすぎたせいか重い瞼をこじ開ければ、未だにボーっとした視界が広がった。




「んー・・・」


取り敢えず判るのは真っ白な天井を見上げて、ふかふかのベッドに眠っているコト。



そして愛おしいヒトが手を握って、傍にいてくれたらしい温かみだけ…。




「ここってドコなの…?」



「んー、俺たちの新居」


「・・・え!?」


サラリと発せられた言葉は完全に眼を覚まさせ、ガバッと上体を起こした私。