いつでも自身のコトに精一杯で、貴方の苦しみにも気づいてあげられなくて。



それどころか、その状況下でも私のコトを気遣ってくれていたのに・・・




「ひっ…く、ひっ、ごっ、めんね…」


「蘭は何も悪くない…」


咽び泣く私の背中を、ポンポンとあやすように撫で下ろしてくれて。




「わた、し…っ、忘れられた、って…。

そればかり、ショック・・・で、悲しくて…!

でも…、た、くみが…戻る、まで…泣かない、って…――」



「あぁ、強がらせたよな…。

もう泣いていいよ、待たせてゴメンな…」



「うっ…、うわぁああああ…!」


その手の大きさに安心して、どんどん痞えていたモノが飛び出てしまう。




突然に愛おしいヒトの消息が不明になったトキ、独りで頑張ると誓ったけれど。



そんなのやっぱりムリで…、拓海の顔を見ただけで本当は泣き出しそうだった…。




手を伸ばせば届くのに…、どうして忘れてしまったの・・・?




私だけを忘れるなんて…、拓海には必要じゃない存在なの…?




そんな不安に苛まれて、毎日がずっと怖くて、耐えられそうになくて…。



この留め金が壊れてしまった今はもう、涙が止められる訳ナイよ・・・