今までに見たコトもナイ、傍若無人な後藤社長の苦しげな表情を凝視していれば。



握られた手にキュッと力が籠められたお陰で、此処でもホッと安堵してしまう私。




「え、と…そ、れは・・・

きっと、私…何度でも、拓海を求めてしまうと思います…。

私の人生は…拓海の存在ナシには、何も成立しないですから…。

だから…拓海と出会えた、この人生に懸けて、必死で彼と生きたいと思います。

ですから…、“もし、拓海じゃなかったら”という質問に、私は答えを出せません…。

後藤社長、本当に申し訳ございませんでした」


言葉にしようとしても、し切れない程に拓海への想いは募ってしまう。




拓海という存在ナシに、私の人生は何も残らないといっても過言ではナイの。



貴方の隣で笑っていたくて…、愛おしいヒトの傍に近づきたくて…。



それを胸に秘めたまま、ずっと、ずっと、私の人生は続いていたから・・・




改めて深々と一礼をしたあと、再び後藤社長と眼が合ったのだけれど。




「・・・そうか」


「はい・・・」


それ以上はもう、何も言葉を交わすコトがなかったのだけれど。



今までで一番晴れやかというか、スッキリとした表情を見せてくれた。




同じ世界で生きる者として、いつかまた会う日は笑い合えるかもしれない…――