大柄の後藤社長が小さく霞んでしまうほど、その様は堂々としていて。



愛おしいヒトがどれほど偉大なのか、まざまざと見せられている気分だ…。



「どうすれば…、良い…?」


暫し流れる重苦しい沈黙の後、悔しさを滲ませながら呟いた後藤社長。



「どうすれば…と、仰られましてもね…」


フゥと溜め息ひとつをついて、その続きを急かすような拓海の口ぶり。




「・・・悪かった」


「誠意が足りないとは思いませんか?

貴方の身勝手すぎる行動で、蘭は…」


グッと噛み締めながら、ポツリと齎された謝罪さえ許せないようだけれど。




「拓海…、や、めよう…」


「蘭・・・?」


「これだと…、拓海が、悪者になるじゃない…。

わたし、が…、私が全部、悪いのに…っ――」


堪らずに私は愛おしいヒトのスーツの裾を引っ張りながら、ソレを制してしまう。



そうして互いの体温を分かち合っていた手が離れると、ゆっくり席を立ち上がった。




「…後藤、社長・・・

貴方にご迷惑をお掛けして、本当に申し訳ありませんでした…」



私がやらなければならない、彼への謝罪をする為に・・・