合併の言葉が出て驚いているのは、どうやら私だけではないようだ。



その他の人たちまでもが驚きのあまりに、その眼を丸くしていた…。




「バカな…、A銀の経営状況は健全だ。

それがどうして急に、吸収合併に陥る!?」



後藤社長が質すのも当然…、A銀行の規模は日本でも有数の金融機関だ。



東条のグループ企業である、日本随一のT銀行には敵わないとしても…。




「えぇ、仰る通りです・・・

A銀行は日本屈指のメガバンク…、もちろん経営自体に問題はありませんよ。

問題があるのは、貴方だけですからね――」


「な、に?」



「貴方が仰いましたよね…、東条の本気とやらを見せて欲しいと。

前回は蘭を傷つけたくないと思い、無傷で終えてさしあげたのですが…。

今回ばかりは許すつもりもない…、全力で息の根を止めるつもりですよ。

大切なモノをまた苦しめようとした、貴方の会社ごとね――」


「ッ――!」




「…話によると御社では、来年のショー開催で投資額が嵩んでいるそうで…。

どうします…、このままだと融資は得られませんね?」


「っ、き、さま…!」


拓海の提示に対して、ギギッとめり込みそうなほど拳に力を入れた後藤社長。