私の瞳を拭ってから髪をひと撫ですると、そのまま標的へと視線を戻す拓海。




自身の不甲斐なさと申し訳なさで、胸が痛くて、苦しくて仕方がナイというのに。



それでも愛おしいヒトの眼差しには、冷えた心を急沸騰させる効力があるみたい…。




そのブラウンの瞳には一体、あと何を隠しているというのか…――





「貴方から脅迫を受けた者の証言に、付け加えまして・・・

…この場に彼だけでなく、なぜ立川がいるかはお解かりでしょうか?」


「どういう意味だ?」


「まだ、先ほどの言葉の意味をお解かりではないようで…」


フッと嘲笑する拓海に、ピクリと眉根を寄せて2人をチラリと一瞥する後藤社長。




「ハッ…、こんなカスどもが貴様の布石か?

駒としても、下僕としても役立たずなヤツらに何が…」


鋭い眼光で捉えられた2人は、明らかに血相を変えて動揺しているようだ。




「ッ・・・」


自身の会社のトップに、酷すぎる言葉を吐き捨てられれば当然だろう・・・



私が言われた訳ではナイのに、聞いただけでも心が痛んでしまうもの…。