社長室の扉を眼前にすると、無言のままにピタリと歩みを止められて。



未だに絡んだ指が熱を帯びてドキドキするとは、不謹慎極まりない。





ガチャッ――

彼がドアノブに手を掛けると、そのまま中へと引き連れられて入室した。



入口付近でまた歩を止められてしまい、当然私も立ち止まったのだけれど。





「あの…っふ…、ンンッ――!」



バタンッ――

その重厚な扉が音を立てて閉まった瞬間、言葉を封じられてしまう。




「ンンッ、ンッ・・・」


強引に唇を塞いでおきながら、舐めるように触れるキスがもどかしい…。




「んっ・・・」


だけれど確実に体内温度は、焦らされる口づけによって急上昇していく。




「ンンッ――!」


少しだけ開口した隙間から捻じ込まれた舌で、徐々に激しさをプラスされると。



緩急をつけた巧みさに囚われるように、ガクンと身体の力が抜け切って。




すべてを分かりきっている拓海のペースに、まんまと嵌められるだけ…。




「ンッ…、っぁ・・・」


後頭部を支える彼の手が、腰砕けになりそうな私の生命維持装置と化していた。