どういうコト…、いったい何が奇縁しているというの――?





「本当は危害が加わる事のないよう、直ちに退職させる手筈だったが…。

事実を告げずに退職を告げたせいで、蘭は社外へと飛び出してしまった。

まさかその日の出会いが、貴方と再び結びつけさせてしまうとはね…。

…申し訳ないが、来てくれないか――?」


まるで私へと語りかけるように、分かり易く述べていた拓海は一旦止めたあと。



何処かへ向けて放たれた言葉で、ガチャリと繋がった秘書室の扉が開かれた…。




思わずドアの音に反応して振り向けば、立川元部長とアノ佳奈子さんの2人の姿。




「涼太、くん…」


「・・・・・」


そして私が漏れ出た呼び掛けにも応えず、俯いたままの涼太くんがいた・・・




「お前ら、東条のはした金でも貰って寝返ったか?

それとも・・・」


嘲笑…ううん、卑下していると判る声色が室内に異質なモノとして響き渡った。




身体を後方へと向けてしまった後藤社長の表情を、窺うコトが出来ナイけれど。



3人の顔つきを見れば、どんな様子なのかが見て取れる恐ろしさだ…。