続きは、社長室で。2



きっと此処でNOを告げていたとしても、彼は咎めなかっただろう…。




だけれど避けたり逃げたとしても、何処かで必ず廻りあうのが人生で。



辛くても拓海と生きたいと選んだのは、誰でもナイ、私だから…――




「そうだ、蘭ちゃん!

ちょっとだけ目、閉じてくれる?」


「え…、はぁ・・・」


シリアス調の雰囲気を一蹴させると、いつもの柔和な桜井さんに戻っていて。



テンポの速さに訳も分からぬまま、生返事をしつつ眼を閉じたのだけれど。




「コレでよし!と…」


「…わっ――!」


プシュッとした噴射音で眼を見開けば、私の身体全体は香りの霧雨に包まれて。



体温で香り方は違うといえど、これは明らかに桜井さんの香りだと察しがついた。




「イイ材料になると良いんだけどなぁ…」


「あの…、意味がよく…」


ウンウン頷く彼を尻目に、自身に馴染んでいく香りがイビツに思えていたのに。




「大きな賭けを仕掛けたから、あとは宜しく頼むよ…?」


有名ブランドのフレグランスの瓶を手に、ニヤリと笑う彼に絶句させられた。