「お、ねがぃ・・・

そ、んなこと…、言、わないで…くださっ・・・」


溢れる涙が止められナイ…、でも、俯いて必死に頭を振り続けた。




優しさゆえの言葉だと、十分すぎるほど解っているけれど…。



貴方にイラナイと言われてしまえば、傍にいる術は消えてしまうの。



お願いだから…、僅かな祈りの灯火(ともしび)まで消さナイで・・・




ギュッ――

すると手で溢れる涙を隠すように覆っていると、そのままグッと引き寄せられた。


「ッ…――」


私を抱き寄せてくれたのは誰の腕で、鼻腔を掠めているのは誰の香りか。



そんなコトを考えなくても、何度も触れられた身体が覚えているから・・・




「悪かった…、泣かないでくれ…。

…どうしてかな、君に泣かれると辛い…」


拓海がフッと自嘲したけれど、鼓膜を揺らす声色は余計に涙を止められない…。




「…っ、もう…っ、あ、んなコト、言、わないで…っ…」


「あぁ、ありがとう…」


引き寄せられた腕の力がさらに強まって、縋りつきたくなるのを我慢しつつも。



そっと眼前の胸に凭れながら、視界を歪ませる涙を静かに流していたの。




貴方が発した言葉に、いつか道が開けると思えたから…――