会場までは現地集合の為に、その中間地点で菫と待ち合わせをしていた。



そうして現地に向かって進んでいる、2人きりの今へと至るのだ…。




「それにしても、彼の趣味…?」


「え、何が…?」


ネオンが煌々とする繁華街を歩きながら、こちらを見る彼女に首を傾げると。




「その格好よ…、大人っぽくなってるし。

東条さん好みのテイストなのかなーって…」


「ッ…、うん、そ、うかな…」


引き出された東条の単語は、一気に弱気な心を蒸し返していくけれど。




「やー、もうすっかりラブラブだしぃ!

でも、ちょっとの間で本当に綺麗になったよ。

東条さんに愛されてるのね?」


大切な友達から、こんなにも嬉しすぎる言葉を貰ったというのに。



「っ…、ありがと…。

まだ結婚のコトは…、公に出来ないけど、ね・・・」


幸せに繋がる“結婚”の二文字は、何故か心臓をギューっと痛めつけていた。



どうしても苦しさが押し寄せてきて、上手く処理出来ないからだね…。




「あー、早く言いふらしたいんだけどぉ!

…って、どうかした?」


「う、ううん!

もー、絶対に内緒だからね!?」


不意に顔を覗かれて驚きながらも、どうにか笑いを交えて返すコトが出来た。