多忙すぎる貴方に、ムリヤリ時間を作らせてしまった私のせいだ…。



もっとオトナの良識が備わっていたのなら…、起こりえなかったハズで。



いつも後ろについていたのに、貴方の大変さも何も理解していなかったからだ…。




人はどうして、窮地に立たなければ気がつかないのだろう?




貴方が私に齎してくれた分の代償は、あまりにも大きすぎたね…――






「…拓海の乗った飛行機が・・・

消息を、絶った・・?」


告げられた言葉があまりにも浮世離れしていて、当然のように反芻した私。




「えぇ…、プライベートジェットにトラブルが発生したらしくて…。

パイロットから、別空港に不時着する旨の連絡が管制官に入ったらしいわ。

でも…、予定時刻を過ぎても到着しないうえに、レーダー交信も出来ないそうよ…」


気丈に説明されていく度に、頭をガンガン殴られるほどの衝撃が走っていく。



「うそ…、そ、んなの・・・。

だって、朝まで・・・」


歪まない口元でも乾き笑いを浮かべなければ、とても聞いていられなかった。




“戻ったら会いに行く”と約束をして、朝方に見送ったばかりよ…?



おでこにキスを落とされて、優しい笑顔の拓海が目に焼きついているのよ…?




“冗談よ?”そう笑って欲しくて、願望だけを頼りに彼女を見つめた。