楓に彼氏が出来たのは
入学してから1ヶ月が経った頃だった。



クラス替えが3年間ない高校に入り、初めて彼氏が出来て。
今でも実感がわかないが、
自分がとても大切にされているのだと
いうのが分かる。
彼の名前は、坂本 優輝。
同じ年の同じクラス。

「今日も下駄箱で待ってるね!」
私は笑顔で優輝にそう言う。
「いつも待たせてばっかで悪ぃな。」
優輝は申し訳なさそうな顔をしながら
私の頭にポンっと手を置く。
私は頭をポンとされるのが好きなんだ。
それも、優輝の手じゃなきゃダメなんだ。私は少しの作り笑いで
「いいの!優輝は部活頑張ってるんだもん!いつも遅くまでお疲れ様。」
こう、いつもと同じ言葉を言う。
優輝はバスケ部で、いつも終わるのが遅い。待っている間すごく寂しいけど
部活を終えて笑顔でこちらに来る
優輝を見ると寂しさもなくなる。