うなずいてしまった。

確かに俺はうなずいた。

弁当を作るというスーパーの女の発言にうなずいた。

それは、スーパーの女が俺に弁当を作ってくれるということ。

それは、どこの誰だかわからないスーパーの女が、俺に弁当を作ってくれるということ。

それは、いつどこでどうやって渡されるかも不明ということ。



「しんじらんねぇ……」

自分で考えても、常識はずれなことをしたと思う。だから、佐助がそうつぶやいたのも、納得がいった。

「俺も、なんだかわかんねぇよ。なんか、そういうことになった。」

「それって、食っても平気なのか?毒とか入ってない?」

「……そんなこと考えもしなかったけど……そんな女には見えなかったんだよなぁ。」

「冗談だよ!信じらんねぇのはお前のこと!弁当まで作ってもらおうって女の、名前も調べてこなかった、お前のこと!」

「そ…れは…だって、声が出なかったんだよ!金縛りかってな勢いで、声が出なかったの!なんだろな…不気味すぎ…」

俺がそう言うと、佐助は「お前は哀れなやつだよ」なんてつぶやいた。

哀れってなんだよ!意味わかんねぇよ!

佐助は、俺の肩を抱いて、

「それで利一は、弁当作ってもらうことに関してどうなのよ。」

「え?どうって、悪いなぁ…みたいな?いいのかなぁ?とか?」

「ってことはさぁ、嫌じゃないってこと?」