夕方の練習の後更衣室で、俺は佐助にスーパーでの出来事を話した。

俺のことを知っている、俺が知らないスーパーの店員……


佐助は汗で濡れた体を拭きながら、軽く相槌を打っていた。そして、

「うちの学校のやつなんじゃん?」

と言った。なんだよ佐助!名探偵??

「だってさぁ、お前が毎日昼に醤油ラーメン食ってんの、校外のやつが知るわけないじゃん。名前だって、たぶん、この学校のやつだったら、半分以上のやつが知ってると思うよ。」

「ええええ?何で?俺、サッカー部のやつの名前と、後、仲いいやつの名前しか覚えてないけど……みんな、仲良くなくても名前覚えてるもんなの?」

「……う~ん……なんて言うのか……。確かに、お前は名前を覚えなさすぎ!それは確か。でも、俺含めて他のやつらだって、学校の半分のやつの顔と名前なんて覚えてない。いいか?自覚ないみたいだけど、お前、結構有名人なの。」

「俺?何で?真面目に地味に、問題なんて起こさず、ひっそりと過ごしてるのに!あ!お前のせいだな?」

俺は、じっとりと佐助をにらみつけた。そうに違いない。俺は目立つことはしていない。佐助は、正直、女にもてるし、スポーツイベントではMVPだし。

でも佐助は、あきれた顔で俺を見ていた。そして、

「うちみたいなサッカー名門の特待生で、レギュラーにも選ばれてて、でも勉強も出来て、学年20位以内にいつも入ってるだろ?それで、俺なみにイケメンなんだから、有名にもなるって。少し、周りを観察してみろ。毎朝、女子どもに見られてると思わないか?」