『…あたしはさ、好きって気持ちよく分かんないの。』


らきは不思議そうに首をかしげた。


「どうして?」


あたしは目をつむって下を向いたままポツリポツリと話した。


『…あたしの親は昔から凄く仲良くて、自慢だった。
でも、父親が浮気をして、母親も知らない男をよく家に呼んでた。
しばらくしてあんなに仲良かった二人も離婚した。
…意味が分かんなかった。
でも、あたしも大きくなって気付いた。
あぁ…皆好きだと思ってもいつかはそんな気持ちはなくなってしまうんだな、って。』