落ち着いてよく見てみると、確かにその先輩の顔立ちには、合っていない。

きついアイメイクだけが目立ち、細長いパンダみたい。

ほっそりとした優しい雰囲気のある先輩だったのに、わたしが作り上げたヘアメイクは、全く似合ってなかった。


「先輩、すみませんでした」

小さな声でモデルになってくれた先輩に声をかける。

でも、その声は先輩に届いていなかったのか、先輩は何も言ってくれなかった。


いたたまれない気持ちになっても、どこにも飛び出していけない。

時間は流れ、練習会は過ぎていくだけ。



「ありがとうございました」

先輩たちが帰っていくのを見送り、片付けに入る。



まだ、全然、だめなんだなぁ・・・。




一人立ちすら、まだできないっていうのに。

光に会うなんて、雲の上の話。



重たい気持ちに押しつぶされそうな夜だった。