「ベースがむらになってる。眉山の位置が左右違う。リップラインも右のほうが膨らんでる。」

そして、今日も堀田先輩の容赦ない厳しーい指摘が飛ぶ。


「ほら、ピン打ちがしっかりしていないから、毛束が取れちゃうじゃない。なにこの打ち方」

ひゃー、一番最初に見てもらっているアシスタントの子は半泣き状態だ。

ううう・・・、胃が痛い。



でも、堀田先輩は別に新人をイジメているわけでもないし、現実をストレートに(ちょっとストレートすぎるけど)伝えているだけなんだ。

仕事はそんなに甘いもんじゃない。



ひとしきり、堀田先輩がほえた後、今度は藤ヶ丘さんの登場。


「そうね、眉山は左右で描き易さが違うでしょ。右は描きやすいのよね。でも、左は描き難いから・・・」

そう言って、スクリューブラシを取り出すと、左の眉山から眉尻までのアイブロウを消し、アイブロウペンシルでササッと描き足した。