「福太がね、元々会社でチケットとってもらってたらしいんだけど、わざわざ愛名に渡してほしいっていうから、変だと思ってたんだよね。なんで、愛名に?って。でも、わかった。意味がやっと、わかった」

そう言ってミーヤは、とびきりの笑顔を見せてくれた。


「まあ、そうゆうことなら、あたしのダンス見てもらえなくても仕方ないね」

「ごめんね」

わたしは、ミーヤにばれてしまった恥ずかしさと、ダンスを見てあげられなかった申し訳なさで下を向いた。



「ね、じゃあさ、あの時、黒川光のコンサートの時!愛名、うれしかったね」

「えっ…、うん」

ミーヤはわたしより年下なのに、まるでお姉さんみたいにわたしを見て微笑んでる。


「あの時、あたしが気づいてたら、もうちょっと黒川光に近づけるようにしたのになあ。サララさんも使って」

「ううん、いいの。まだ、早いから。わたしが光に会えるなんて」


「早い?」

「わたしがちゃんと独り立ちして、ヘアメイクって名乗れるくらいにならなきゃ、光にあっても意味がないの。そうじゃなきゃ、ただのファンになっちゃうから」