「俺、今度も愛名さんのヘアメイク指名しますから」
「ありがとうございます」

「本当ですからね。絶対来てきてくださいよ」
「わかりました」


わたしは「わかりました」って言ったけど、今度なんてないことを知っている。

わたしみたいなアシスタントなんて、山のようにいるんだもん。


デビューもしてないフクちゃんが指名できるわけでもないし、指名をもらえるような立場でもないんだ。


今のわたしは・・・

でもね、
フクちゃんが扉の中に入った後、その場を立ち去れないわたしは、部屋の中で大きな声で話しているフクちゃんの声を聞いたんだ。


「光くーん。今、あの頭作ってくれたヘアメイクさんと話してたんですよ」

って。


今日が、運命の日に
なったんだ。