恭平は俺を壁に押さえ付けた。
顔を見たら、とても怖い顔していた。
「いつまでも話さないつもりか?」
「ぁっ、ちがっ」
「何が違うんだ?」
今、目の前にいる人は一体誰なんだろう?
恭平はこんなことしない。
「た…たすけて」
助けを求めても、ここは恭平の家で俺たち以外は誰もいない。
「なぁ、だんまりなんてセコいぜ?」
怖い顔をしている恭平は一度も見たことがなかった。
その顔が、自分のトラウマと重なった。
「ぅっ……」
とにかく怖く、体が震えた。
早くこの状況から解放されたい。
ただそれだけだった。
泣いた俺を見て正気を取り戻したようだった。
その時、恭平の拘束が緩んだ隙に俺は逃げ出した。
「あずさっ!!」


