ただ今、恭平に抱きしめられ中。



ってか、甘ーいこの状況どうすんですか!??



誰でもいいから助けて~


「恭平さ、仕事あるんじゃ…」



「あぁ、そんなこともあったな。」

軽いよ。
仕事なんだし、第一に社長さんなんだよ?

みんな困るじゃん。



「行かなかったら、仕事の人達に迷惑かけるんじゃ…?やっぱり行かなきゃ駄目だって。」


恭平の肩を叩き、せかせる。


だが、恭平はいっこうに離れない。
それどころか、腕の力が強くなった。



「恭平…ねぇ、恭平ってば─!!」

俺がうるさくなり始めた頃に、やっと恭平は仕事に行く気になった。



「あ─、分かったら。行くっての。」


その時に感じたかわいいというのは、恭平には秘密だ。





二人共、玄関前に立つ。

「梓どうする?俺と一緒に行くか?」


俺に選択させるのは、きっと優しいからだろう。



いつかは、乗り越えなければならない。
いつまでもこうやって、甘えているわけにはいかない。

分かってる。


「そんな、今すぐってわけじゃない。ゆっくりと外の世界に慣れていけばいい」


俺の頭の上に手を乗せた。


「うん。
でもさ、このままじゃ駄目なことくらい俺だって、分かってる。だから、俺も恭平の仕事場について行く!!!」


言い切った俺の今の顔は、スッキリした顔だと思う。


恭平は、俺の頭を掻き混ぜた。

「っわ!」

「よく言ったな、梓。」