ＰsychoＣabala〜第７の男〜

「何！何！？」



佳代はエミの顔を見て叫んだ。



エミの顔からは安堵の表情が浮かんだ。



「たすかった・・・。」



思わず言葉をもらす。



その様子に兜の表情が変わった。



「ちっ。オフィシャルナンバーか。」



鉄心は歩きながら顔の前で両手を広げ、『朱菊』を構えた。



鉄心の刀を見て男が叫ぶ。



「へぇー。日本刀ねぇ。

そんな柔な刀でこの
『赤兎馬』をしのげるのかい？」



男の言葉に
鉄心は顔色一つ変えなかった。



「日本刀は。

中世ヨーロッパの時代に造られた、硬い甲冑を打ち砕く頑丈な類いの武器とは違い、刃は非情に脆い。

だがしかし、繊細が言えにその
『使い手』の技量を発揮する。

使い勝手の良さ。
切れ味。
どれを取っても日本刀に勝る刀は無い。


あなたの青竜刀よりもね。」



鉄心の冷静さに、男は激怒した。



「この中国の誇る刀に、
その生っちょろい刀が勝てるのかよ！」



「あなたは、既に間違っている。

刀の質は硬さや大きさでは無い。

『造り手』と『使い手』の違いです。」



鉄心の言葉に怒りを解放した男は
先程見せた『気合』を全力で放った。



その突風で佳代とエミの髪がなびく。



鉄心は笑いながら男に言った。



「いい、気迫です。

名を聞きましょう。

大国の戦士。」



「はっ！日本式か。


俺の名は、『全琵』！

お前等が捕らえている
『一琵』の双子の弟だ！」



その叫びに、
黒いスーツに身を包み、
長い髪をオールバックで後ろに束ねた鉄心が答えた。


「私の名前は、葛城鉄心。

第十番目の男。『討』の男なり。

勝負は一瞬ですよ。」



鉄心は腰を屈め全琵を見据えた。



その表情を合図に全琵は思い切り踏み込んだ。