ＰsychoＣabala〜第７の男〜

暫くの沈黙の中、
車を走らせる二人に異変が起こった。



冷静で、かつ状況判断に長けているエミがバックミラーを見て呟いた。



「付けられてるわね。」



すぐに、エミは先程から黙り込んでいる
佳代をチラリと覗き込んだ。



佳代は下を向き
目を開けたままじっとしている。



それは、まるで人形の様で無機質的にそこに座っていた。



「この子、何かを予知している！」



エミは後ろから追走する
『赤いマセラッティ』を見ながら叫んだ。



「このまま本部の場所を割り出す気ね！

そうはさせないわ！」



エミの運転する
『黒の９１１ポルシェ』は轟音と共に急ハンドルをきった。



本部に佳代を連れていく事を見抜かれている。

このままでは『佳代ちゃん』が危ない。



急ハンドルをきった、
エミの車に気付いたマセラッティは
相手が自分達の事に気付いたのに気付き、
一層、追跡の勢いを上げた。



お互いにタイヤ音を唸らせ、
カーチェイスを繰り返す二台の高級車が新宿の街を華やかに演出した。



「くっ！」



エミのドライビングテクニックでは付き離せない。



マセラッティはやがてポルシェのテール約５センチの距離まで摘めていた。



「あからさまね。

本部の場所特定を諦め、
佳代の奪取に目標をかえて来たか！」



エミは明らかに分が悪かった。



帯斗ですら、致命傷を追わされた武闘派集団に
私一人でこの子を守りきれるかしら。



エミの不安は的中した。



気付けば、
エミのポルシェは人気の無い広いテーマパークの駐車場に追い込まれていた。