PsychoCabala〜第7の男〜

「杉原さん。・・杉原さん!」



その声に佳代はハッとなり、
パソコンの指を止めた。



「大丈夫?

完全にフリーズしてたわよ。

パソコンじゃなくて


あなたが。」



一期上の千草先輩の声に
佳代は我に戻った。



朝からあんな事故を目撃してしまったせいか
職場のデスクで
又あの映像の事を
思い出してしまっていたのだ。



「あなた。顔が疲れてるわよ。

まだ、十代なのに。


笑顔、笑顔。


今日のあなたの遅刻原因
テレビでやっていた
今朝の事故なんでしょ。


聞いたわよ。
一つ間違えば、
あなたがあの中に居たかもしれないなんて。

あー怖い。」



千草先輩は、性格は良い人だが
全く持ってデリカシーが無い。



「大丈夫です。

あのバス事故に巻き込まれていたとしても

私、死ぬ様なたまじゃ無いですから。」



佳代はそう言うと、
千草先輩に笑って見せた。



「杉原くん。ちょっと・。」



遠くのデスクから声がした。



その声は編集長だった。



「はい。お呼びですか?デスク。」



編集長の城金は佳代の
悲壮感漂う表情を見てこう言った。



「今朝は、大変だったみたいだな。

あの事故は
朝のニュース番組でも軒並みトップだよ。


そこで君に仕事をお願いしたいんだが・・・。」



感のいい佳代には
その内容がピンと来ていた。