「会長。

申し上げます。


右腕を失なった今、
この私めは神器を操る力を失いました。

そこで、
新たな者を代わりとして
黒き教団統括者へと推薦致します。」



「・・・以前、お主が言っておった事。

良かろう。

して、

次なる者とは?」



会長の言葉に
エースは顔を上げ、イナッチを見ながら微笑んだ。



「ここに居る。


・・・『稲熊大地』に。」



!!!!



予想もしていなかった言葉に
イナッチは驚いて目を見開いた。



「あっ!ちょっ。待って。」



慌てふためくイナッチを無視し
エースは話を続けた。


「この稲熊大地は若くして
神器召喚の可能性を見い出しております。

今は『8』のナンバーを与えておりますが、
星野が無き今。

この男が適任かと存じ上げます。」



エースの言葉に老人は
イナッチを静に見つめた。



そして神器オリジナルの方に目をやりこう呟いた。



「時代かもしれんな・・・。



稲熊よ。


ここにいる『宮田庄吾』がお前を
『第八番目』に選んだ意味、
主にわかるか。」



イナッチは沈黙した。



「黒き教団『第八の男』に必要な
『資質』


それは。


『義』だ。


全ての者を愛し
そして忠義を重んじる者。

時代によって黒き教団の次を担う者は違う。


今は『義』が輝く時。


主にその意気込みはあるのか。」



その時。



権威ある会長と
歴代最強の名を持つ男の前で



若干、18才。
スパイラルヘアーの若者の目に『光が宿った』。



「仰せのままにっ!!」



イナッチは大声で叫んでいた。



その若者の言葉に
会長とエースは安堵の表情をし

やれやれと言う顔で優しく微笑んだ。



今から18年前。


星野の惨劇を踏み越え

黒き教団史上
初の最年少最高責任者が
誕生した瞬間であった。



  第一章完。