未だ状況が把握しきれないリカから、
かろうじて出た言葉は、



「帯斗?あんた。何してんの。」



の弱々しい一言だけだった。



リカの質問を帯斗は軽く無視したが、その後一言だけ呟いた。




「まだ、沢山いるなコリャ。」



その言葉は、普段の帯斗とはまるで別人の様で



リカのその後の問い掛けにも答えず逃げるように走りさってしまった。




リカは呆然と立ち尽くし、佳代の事を抱き抱えていた。



それから一週間の間に、学園内での失踪事件が相次いだ。



が、どれも身近な所から本人が発見され、警察も学校側も大きく取り上げる事はなかった。



ただ、事件が起こっていた短い間に、
多数の生徒が『黒スーツの少年』を目撃していた、
 この失踪事件と黒スーツと村上帯人との因果関係が噂される様になったのである。