彼女の腕に手を伸ばし、ゆっくりと俺の側に引き寄せる。
「おはよう。」
そのままのスピードで抱き寄せ、耳元でささやいた。
柚華は一瞬ピクリと体を反応さると、俺の胸に体をあずけ、おはようっと呟いた。
唐突にキスしたい衝動に駆られるけど、それはグッと我慢する。
朝からこんな状態の柚華にキスなんかしたら、絶対に止まらない。
その先までしたくて堪らなくなる。
しばらくの間、柚華の優しい香りを包み込みながらゆっくりと髪を撫でていた。
甘酸っぱい沈黙を破ったのは、すっかり俺の腕の中で覚醒した柚華だった。
「ねぇ、何でこんなに朝早くから起きてたの?いつも私が起こしに行くまで絶対に起きないくせに。」
……言いたくないな。
お前が会いたがってた、俺の親友に電話していましたなんて。
言ったら絶対に、私も話してみたかったのにぃ。なんて頭を抱え込みたくなるようなこと言い出すに違いないんだから。
「……さぁ~。今日は珍しく早く目が覚めたんだ。」
とりあえずここははぐらかしておく。
でも、柚華は俺なんかよりも一枚上手だった。
