いつの間にか峪下の背後に在ったモノが俺の傍らに立ち、その鎌のような爪を振り上げた。
 
「だから‥‥梓の為に死んでくれるよね、遥君」
 
やっと死ねるのかと、思った。
だけど、俺は‥‥。
 
「まだ‥‥」
 
 
死にたいと、思った。
 
生きたいと、願った。
 
 
「死ね‥な‥‥い‥」
 
 
刹那
 
 
「死にたいって言っても、死なせないわよ」 
 
銀色の少女が舞い降りた