「遥、私の唯一の‥‥」
 
ユキは気を失っている遥の頬に、そっと触れた。
その瞳には、強く真っ直ぐな光がある。
 
そんな彼女に近寄る小さな影。
それは、洋服を着た白兎と黒兎のぬいぐるみで、首に鈴の着いた紅いリボンが結んであり、フワフワと宙に浮いている。
 
[[ユキユキ♪どうした?どうしたの??
泣いてる?泣いてるの??]]
 
その白兎と黒兎のぬいぐるみは、同時に同じことを言う。
ユキは優しい声音で言った。
 
 
「大丈夫、大丈夫だよ」
 
 
彼女は笑う。
綺麗に笑う。
 
泣きながら笑ったんだ。