あの日から何事もなく毎日を過ごしてきたものだから、平和ボケをしてしまったんだと思う。



突然自分の身に襲い掛かってくる災難があると知っていながら



死を迎えるのは何十年も先の話しだと勝手に思い込んでいた。



皆と同じように与えられた仕事をして、恋愛して、結婚して。



物心ついた頃から憧れていた暖かく幸せな家庭を築き上げて。



立派に成人した子供達の門出をこの目でしっかりと見届けて。



その時が来たら、自然に死を迎え入れるものだと、勝手に人生の未来構図を完成させていた。