Othello―オセロゲーム―Game

若松はようやく落ち着ける宿の自室に入り、窓の外を眺めていた。

…まだ雨は止みそうにない…か。

窓に打ち合たる雨は、さっきよりも激しさを増している。

今日はずっと部屋にこもりきりだな…。この雨じゃ出歩くこともできないし。
部屋から出ると、またあのうるさい女が付きまとうしな…
窓から離れると暖炉の近くに置いてある安楽椅子にもたれた。
何だか、どっと疲れが出たような気がした。


…と、突然ドアを叩く軽快な音がしたので、若松は跳ね上がった。

咄嗟に椅子の後ろに隠れ、目だけ椅子から覗きだしドアを睨み付けた。

まさか…あの女!こんなとこまで追い掛けてくるか!?
若松は、恐る恐るドアに向かって言葉を投げ付けた。

「だ…誰だ?」

ドアがきしむような鈍い音を発しながらゆっくりと開いていった…。