暖炉の火が窓に大きな影を映し出し、それは不気味に揺らいでいた。
雨音が静まりかえった部屋中に響いている。
男は安楽椅子に腰掛け、片手には赤ワインの入ったグラスを持っていた。
グラス越しに眺める炎は、どこか趣きがあって心が落ち着く。
男が炎に見入っているとき、扉を叩く鈍い音が聞こえた。
「失礼致します。旦那様、書簡が届いております。」
そう言って、黒のメイド服を着込んだ使用人の女が扉を押し開けて部屋に入ってきた。