「そう思わない?」

斉藤が俺に聞いてくる。

表情はおそろしいほど真剣だった。

「そうだなあ。ほんとくだらないルールとか、大人は押し付けてくるよな」

俺はそう言った。

斉藤は目を光らせ喋りだす。

「そうなんだ。でな、今のこんな状態よりもっとすげえこと考えてんだよ」

俺は聞いてるのが怖くなるぐらいの迫力だった。

しかし、斉藤がこれから言うことを聞きたい自分もいた。

「すごいことって?」

俺は聞いてしまった。

それは開けてはいけない扉だったのかもしれない。

斉藤がニヤッとした。

タバコをすり潰して火を消した。

俺はゴクッとツバを飲んだ。