俺は斉藤と打ち解けた話もするようになった。

俺がいじめられていたこと。

俺が不良になろうと決意した理由。

停学になって坊主にしたこと。

全部正直に話した。

それぐらい斉藤は信頼でき、優しい男だと思った。

ある時、斉藤とふたりでタバコを吸っていた。

斉藤がボソッと言った。

「俺もいじめられてたんだよ」

「えっ」

以外だった。

こんな頭がよくて何でもできる、見た目がカッコイイ完璧な男がいじめられていた。

本当だろうか。

「俺はさ、前の学校でいじめられたり、教師にもすごいひどいことされてさ。で不良になったんだけど、喧嘩して相手が怪我して捕まっちゃったりしてさ、大変だったよ。まあ俺も強くなりたかったんだ。だから弱い者いじめする奴とか許せないんだよ」

斉藤がそう言った時、目が潤んでいるように見えた。