「おい、教師だかなんだか知らねえが、俺にガタガタ言うと痛い目みるぜ。今すぐ警察に、教師に殴られたって言いに行こうか?」

斉藤は担任にそう言った。

担任は何も言えず下を向く。

まるで斉藤に脅されているように見えた。

その縮こまった情けない姿は、とても教師の姿には見えなかった。

担任は何も言わず前に戻り、いつも通り出席をとって出て行った。

担任がいなくなった瞬間、大きく息を吐く音、拍手、ざわめきが起こった。

みんなが驚いていた。

生徒が、教師に勝つ。

こんな光景を今まで見たことがないに決まっている。

斉藤・・・。

すごい男だ。

俺は、担任が完全に言い負かされたようすを見て快感だった。

それと同時に、カッコイイ斉藤とは違う、自分の情けなさに嫌気がさした。

斉藤がとても輝いて見えた。