「じゃあ斉藤は、あそこの空いてる席に座ってくれ」

「はーい」

その席は俺の隣だった。

一番後ろの、端っこの、隣がいない、この席を気に入っていたのに。

嫌ではなかったが、気まずい。

気軽に話しかけようと思える相手ではない。

「よろしくね~」

斉藤が俺に話しかけてきた。

「よろしく」

俺はクールにとりあえず返した。

「おい!」

担任が声を荒げた。

急に顔色が変わる。

どうしたのか・・・。

「斉藤、今日は初日だから許してやるが、明日はその格好、直してこいよ」

担任がすごむ。

斉藤の表情は一瞬怒りに満ち溢れたが、すぐに元に戻る。

「へいへい」

担任はニヤリとしてホームルームを終えて出て行った。