俺は席から動かなかった。

いや動けなかった。

泣いているのをばれたくないからだ。

身体がまだ震えている。

心配したクボタたち、不良グループがすぐに駆け寄ってくる。

「大丈夫か?」

ありがたかったがそれどころではなかった。

冷静ではいられない。

「大丈夫だよ。ありがとう」

そう言った。

鼻声だったから泣いているのがばれてしまったかもしれない。

とにかく俺は授業など受けられる気分ではなくなっていた。

「わるい・・。ムカツキすぎちゃってさ。先帰るよ」

俺はクボタにそう言った。

「お、おう。そりゃそうだな。分かったよ。落ち着いたらメールくれよ」

クボタは優しく答えてくれた。

俺は教室から出て、駆け足で学校を飛び出した。

逃げたかったのかもしれない。

涙が止まらない。

何もかもが歪んでみえた。

しばらくして立ち止まる。

ここなら学校から離れていて安心だ。

誰もいない。

涙をぬぐう。

人生から逃げ出したかった。