担任は斉藤と取っ組み合いになるが、もうフラフラしている。

最初のパンチが効いているのだろうか。

足元がおぼつかない。

「寝てろ」

斉藤がそう言い、担任の顎をエルボーした。

担任は沈んだ。

斉藤が演壇にくる。

俺は校長を羽交い絞めにしたままだ。

もう校長の身体からは抵抗の力さえ感じられない。

斉藤に続いて、斉藤のファンのギャルの女もくる。

もう一人の女はやめたが、この女は本当に計画を実行している。

その姿が、面白くもあり感動的だ。

斉藤がマイクを握る。

生徒のみんなは身体が固まってしまっている。

パニック状態の親たちとは違う。

何か俺らの行動に感じているのだろうか。

「俺たちは学校に抑圧されてきた。茶髪もダメ、標準制服以外禁止、ピアス禁止。身なりのことから、生活態度までだ。くだらない教師。みんなそう思っているだろ。教師どもは教育者でも何でもない。仕事として俺らを管理してるだけだ。そこに何の正義もない」

斉藤の演説をおっぱじめる。

生徒たち、親たちがひどくざわつく。

たった俺らの二十人足らずの暴れっぷりを抑えられない教師どもは、

「やめろ~~」

「バカヤロ~~」

などと必死でやじる。

邪魔されては困る。

教師全員を羽交い絞めにする。

「ちくしょ~!クソガキども!」

その姿はもう教育者の誇りなんてない、ただのどうしようもない哀れな大人の姿だった。