「生徒の皆さん、今日はお日柄もよく、絶好の卒業式日和ですね。天も皆さんの卒業をお祝いしているのでしょう」

相変わらずつまらない話だ。

吐き気がするような。

「皆さんの顔は入学してきた頃より、ずっと大人っぽくなりましたね。日々成長する姿が眩しいばかりでした。学校生活はいろいろな・・・」

もう聞いてられない。

全て嘘で塗り固めた偽善話だ。

くだらない。

もう耐えられない。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

斉藤が雄たけびを上げた。

その瞬間シーンとする。

校長も驚きのあまり黙ってしまった。

卒業式で、前代未聞の珍事。

周りがざわめき始める。

担任が近づいてくる。

「何やってるんだ!」

注意する担任を、無言で斉藤はぶん殴った。