音楽がかかる。

入場曲というものだ。

くだらない。

俺はそう思ってしまう。

感動させようというシチュエーション、全てがうさんくさく感じる。

体育館のドアが開く。

前のクラスの人間たちが入場していく。

俺の番だ。

俺も入場した。

華やかな飾りつけ。

後輩たちの拍手。

「先輩!」

計画に参加するクボタの後輩が手を振る。

俺も手を振り返した。

たくさんの親。

母の姿を探す。

母が手を小さく振る。

珍しく身奇麗な母を見て、なぜかこれから悪いことをする気分になる。

許せ・・・。

許してくれ。

罪深き息子を・・・。