「どうしたの?」

俺は聞いた。

母は泣き始めた。

「なんか、うれしくって」

母は泣きながらそう言った。

俺の卒業をこんな喜んでくれるとは。

愛されているとは分かっていたが、これほどまでとは。

「お父さんも喜んでるよ。いろいろあったけど無事卒業だね。進路も決まってるし。お母さん嬉しいよ」

母は満面の笑みで言った。

そんな母の姿を見て、俺は何かどうしようもなく申し訳ない気持ちになった。

俺は迷った。

俺は悩んだ。

だが、後戻りはできない。

俺が負け犬ではなくなるためには。

俺は今日母の期待を裏切ってしまう。

母の喜びを、どん底の悲しみに変えてしまう。

最低な息子だ。