斉藤は考え込んでいるようなそんな感じだ。

いや、何か全てから解放されたようにも見える。

きっと今までそうとうストレスを溜め込んでいたのだろう。

俺らのせいでもある。

「嬉しいよ」

斉藤が俺に向かって言った。

「どうした?」

俺は笑いながら聞いた。

だが斉藤は真面目に、真顔で真剣に言う。

「俺はな、いつも孤独だと思ってた。実際孤独だった。だが今は違う。みんながいる。明日、無謀な危険な計画もみんなで実行する。俺はそれが嬉しいんだ。嬉しくて仕方ないんだ」

斉藤が目を潤ませながら言う。

天才ゆえの苦悩か。

完璧に見えるこの男も悩むのだと不思議に思った。

「お前には感謝してるぜ。一緒に人生懸けられるよ」

クボタが斉藤の頭をはたき、そう言った。

どこか、いや、とても感動的であった。