そう、俺たちは負け犬だった。

担任に何も言えなかった。

学校に何も言えなかった。

媚びるだけだった。

そんな俺たちを斉藤は変えてくれた。

俺らが頭を下げるだけだった担任を黙らせ、自由にしてくれた。

俺らを救ってくれたんだ。

斉藤という男に憧れる。

俺は憧れる。

どうしようもなく不良で、教師に逆らい、女にモテて、いつも何かを求めて飢えている。

ヒーローだった。

みんなの。

明日、俺はやる。

やってやる。

計画のことを考えただけで、気が狂いそうになる。

きっと出撃前日の特攻隊もこんな気分だったんだろう。

特攻隊に失礼かもしれないが、俺はそんだけ、覚悟をしていた。

身震いが止まらない。

なぜか泣いていた。