みんなはもう何も言えやしなかった。

反論などできるはずがない。

全てが当たっているからだ。

全てが正しいと思うからだ。

なぜ、斉藤に言われるまで気づかなかったんだろう。

「お前の言う通りだよ。悪かった」

クボタが頭を下げた。

あのプライドの高いクボタが。

想像もできないことだった。

「やめてくれ。俺はそんなつもりで言ったんじゃない」

斉藤はそんなクボタの姿を嫌がった。

みんなも謝る。

「ごめん」

「ごめん」

斉藤だけが正しかった。

俺らは平和な生活が、学校生活が、作られた世界だと気づかずにいた。

俺らを管理するための学校。

都合いい生徒を作りあげるためのさまざまな装置。

学校が、とんでもなく、くだらないものに思えた。