誰も口を開こうとしない。

「くやしいよ。ムカツクよ」

俺は言った。

「だろ」

斉藤はうばずく。

「でもさ、今は何もしてこないだろ。嫌がらせもない」

クボタが言う。

「ああ、たしかにそうだ」

斉藤もそれには納得する。

「でも、お前らそれでいいのかよ。俺らをバカにした奴が教師なんだぜ。お前ら苦しめて給料もらってたんだぜ。ありえねえだろ。今だって都合悪くなったから黙ってるだけだよ。お前らに謝罪の一つもねえ。そんな人間が担任だったりすんのが許せねえ」

斉藤は目を光らせ、そう話した。

俺はハッとした。

ああ、そうだ。

俺は何かを忘れていた。

担任への怒り。

憎しみ。

あいつが教師でいいはずがない。

「そ、そうだな」

クボタは斉藤の考えに返す言葉がなかった。