みんなが斉藤を見つめ、話を聞く。

「はっきり言えば、俺たちがやろうとしていることは人生にかかわる。失敗すれば学校側に処分されるのはもちろんだし、捕まる危険性もある。未来にかかわることなんだよ。みんなエスカレーター式で高校に行くんだと思う。俺らは付属の学校の中学生だ。ちょっとでも問題起こせば、進路が狂うだろう」

斉藤は考えを淡々と冷静に話していく。

誰も口を挟む者はいない。

斉藤の話は続く。

「でな、人生にかかわることを、すぐにやろうなんていうのは危険だ。本当はやらないにこしたことはない。だから卒業式までの期間、ゆっくり考えて、やるかやらないか決めたいのがある」

みんな、斉藤の話を聞いて納得だった。

俺はこの計画を安易なことだと考えていたようだ。

ノリでやるのは危ない。

やらないにこしたことはない。

未来にかかわる。

しかし、俺らは学校を壊したい。

ゆっくり考えようという斉藤の考えが胸に響いた。

俺は気づくと無意識でうなずいていた。