「旨い!こりゃ旨い!」

両手いっぱいのチキンをほうばる少年。
大きな黒い瞳、明るめの短い髪。
体の各部に残る古傷は、何処か野生的だ。


「あのなぁ…にいちゃん、金は足りるんだよなぁ…??」


ここは雲の上の町ホワイトオリジン。
の町の一画。゛おっちゃん゛こと、チキンヘッド11世のチキンレストラン。
小さな店で、カウンターが6席あるだけだ。


そのカウンターを肉で埋めて、少年は元気良くうなずく。

「ああ、今日は…
おっちゃん、あんたのおごりな(笑)
しっしっしっ(笑)」

少年の食欲はとどまる事を知らない。

「…あのなぁ、にいちゃん、そりゃあ食い逃げだぜ?」


カランカラン…
戸が開く。

「見つけた…このクソ野郎!!
ウィンド!!!!!」

入って来たのは先程の少年と同い年ぐらいと見られる。
薄い色の瞳が鋭い目付きの中で光っている。



「げっ…!」
少年――ウィンドは入るだけの肉を口に詰め込んだ。