俺様執事に全てを奪われて

「じゃあ、メールは?」

そうか…

メールで伝えるというのがあるではないか

メールなら、出来そうだ

気持ちを伝えられるかもしれない

口は…無理でも

文字でなら、できる可能性がある

「メール…なら、してやってもいい」

わたしはぼそっと呟いた

わたしはかごの鞄から携帯を出すと、大きく行きを吸い込んだ

「愛子!」

「な…何?」

わたしの呼びかけに、愛子はびっくりして背筋を伸ばした

「電源を入れるぞ」

「ど…どうぞ」

緊張する

どうして、気持ちを伝えるってこんなにも難しいのだ

口は無理でも…文字なら…

そう思ったけれど

やっぱり…嫌だ

怖い

どうしたらいいのか

何をどうすればいいのか、わからなくなる

「メールだけだからな
電話には出ないからな」

わたしは携帯を見つめたまま、ぶつぶつと呪文のように唱えた

じゃないと、気が狂いそうだ

「メール…だけだ」

携帯が光る

見慣れた待ち受け画面が、わたしの視界に入った

が、すぐに液晶の画面がかわる

携帯がけたたましく鳴った

「ひゃっわああ」

わたしは驚いて悲鳴とともに携帯を放り投げた